2022年度は、当社子会社のフードリンク㈱の鶏肉サプライヤーである国内食肉加工会社を訪問し、現地視察を実施しました。今回の視察は外部監査機関であるDNVビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社からの監査員同行のもとで実施し、同社のサステナビリティに係る取り組み状況について、工場の視察や経営陣・従業員へのインタビュー等を通じて、確認と評価を行いました。
現地視察における評価は、当社の「持続可能なサプライチェーン行動ガイドライン」に基づくチェックリストを用いて実施し、主にサステナビリティマネジメントの妥当性及び現場でのサステナビリティマネジメント実践の妥当性等の確認を行いました。評価の結果、人事・労務についてはおおむね妥当な管理が行われていると判断されました。但し、一部、方針・手順等が定められていない項目も見受けられたため、改善の必要性について指摘しました。また、労働安全衛生や環境に関しては、文書化が一部しか行われておらず、管理も属人的な傾向が見受けられました。従業員に対する教育・訓練は一定程度行われており、事故等は発生していないものの、今後の方針・手順等の制定と周知徹底が望まれる旨を申し入れました。
詳細は添付レポートをご参照ください。
2021年度は、当社子会社の東洋冷蔵㈱が国産マグロを買い付けている長崎県対馬市の漁協である美津島町漁業共同組合の経営陣および従業員に、当社のサステナビリティに係る取り組み等を紹介する説明会およびインタビューを、オンラインで実施しました※新型コロナウィルスの状況から、従来のサプライヤーの事業現場訪問は難しかったことを受け、オンラインで実施しました。※。
説明会では、サステナビリティに関する外部環境に加え、当社のサステナビリティの取り組み(人権に関する基本的な考え方、持続可能なサプライチェーンの確保を重要な経営上の課題の一つとして特定して事業活動に取り組んでいること)等を説明し、サステナビリティに係る重要性や当社の取り組み内容についての理解を深めて頂きました。
オンラインインタビューでは、持続可能な漁業に繋がる活動として海の漂流物の回収等の活動を行っていること、風通しの良い職場環境に努めていることから人権侵害等の問題が発生していないこと、労働安全衛生の懸念がある作業に従事する従業員には適切な研修を受講させるのみならず従業員の業務量に偏りがない様に人材配置を行っていること等を確認しました。
なお、インタビューを通じて上述の環境や社会に配慮する社内の方針が明文化されていないことを確認したため、当該方針を周知徹底し、サステナビリティに係る取り組みを深化するべく、当該方針の明文化を依頼しました。
当社は、今後も当社グループ各社と連携の上、サプライヤーの皆様と共に、持続可能なサプライチェーンの確保に取り組んで参ります。
2020年度は、当社子会社である三菱商事ファッション(株)がアパレル製品を調達している国内サプライヤーの事業現場(縫製工場)を訪問し、経営陣および従業員へのインタビューを実施しました。
この結果、①従業員の採用・雇用契約の締結・従業員向けの研修や勤怠管理等、いずれの過程においても従業員の人権に配慮した取り組みがなされていること、②現場経営者が各従業員と日報を交換し、従業員が経営に対して直接意見具申ができる環境を整備する工夫をしていること、③工場内蛍光灯のLED化や廃材の再利用等の環境面での取り組みがなされていること、④工場内で製品の切れ端等の吸い込み防止のためのマスク着用や、室内換気・避難経路等の労働安全衛生に関する掲示も徹底されていること、⑤同社における事故件数は年間1~2件と少ないものの、主な事故理由である転倒を防止するため、手すり付き脚立や階段への手すり設置等、事故防止に向けた取り組みを従業員と共に検討し、不断のオペレーション改善に努めていること等、が確認されました。
なお、今回の訪問を通じて、さらに改善が可能な労働安全衛生面に係る事項が発見されましたが、視察後速やかにその改善がなされました。
当社は今後もサプライヤーの皆様とのパートナーシップの下、サステナビリティの推進に継続的に取り組んでまいります。
2018年度は、当社子会社であるフードリンク株式会社が鶏肉および鶏肉加工品を調達するタイのB.Foods Product International社(以下、BFI社)の事業現場を訪問し、経営陣および従業員へのインタビューを実施しました。BFI社では、同社が属するBetagro Groupが策定しているサステナビリティに関する方針、および社会・環境に配慮した事業を行うことを旨とした経営からのメッセ―ジを社内に浸透させる体制が整っており、現場においてもこれらに基づいた取り組みが行われていることを確認しました。具体的には、従業員の採用、雇用契約の締結、従業員の研修や勤怠管理等、いずれの過程においても従業員の人権に配慮した取り組みがなされていることを確認しました。環境面においても、温室効果ガスや廃棄物の削減目標を策定し、これに取り組んでいることや、排水処理についても適切な対応がなされていることを確認しました。
また、工場内では刃物を使うことから、けが等の事故を防止する仕組みが必要となるとの観点でも視察を行いましたが、従業員は適切にユニフォームおよび保護具を着用していること、転倒防止のため常に清掃員による清掃が行われていること、事故防止のための注意点を職場に掲示し従業員に周知徹底していることなどを確認しました。
今回の訪問を通じて、さらに改善が可能な労働安全衛生面に関わる事項が発見されました。具体的には、工場内の一部設備の設置位置が低く、従業員が頭を打つ可能性が確認されたため、事故防止の対策を依頼したところ、BFI社内で改善策を検討の上、全ての従業員が理解できるよう、3言語を併記した安全標識を設置することで速やかに改善がなされました。
なお、同社は、事故件数削減に向けた取り組みを従業員と共に検討し、作業道具や履物等の改良を行った結果、事故件数を大幅に減少させることに成功しており、上述の速やかな改善事項の対応からも、不断に自社のオペレーションを見直し、改善を進めていることを確認することができました。当社は今後もサプライヤーの皆さまとのパートナーシップの下、サステナビリティの推進に継続的に取り組んでまいります。
2017年度は、当社がベトナムから調達するアパレル製品、白身魚に関し、当社の重要な事業パートナーであるViet Tien Garment社(縫製工場)、Vinh Hoan社(白身魚・パンガシウスの養殖・加工場)のBest Practiceについて理解を深める為に、同社の事業現場を訪問し、経営陣及び従業員へのインタビューも実施致しました。
Viet Tien Garment社では、経営戦略としてサステナビリティに取り組むことを方針としており、同戦略に基づいて省エネ目標や労働安全衛生目標等を設定して生産性向上に取り組んでいること、等をインタビューで確認しました。また、視察の結果、工場内は常に清掃活動により転倒事故が予防されていること、指紋認証システムで従業員の勤怠管理を行っていること、労働安全衛生の周知徹底を目的に労働安全衛生マニュアルや注意標識が工場内に掲示されていること等も確認し、サプライチェーン・マネジメント上重大な問題がないことを確認しました。
Vinh Hoan社においても、経営戦略としてサステナビリティに取り組むことを方針としており、同方針に基づいてASC認証※1水産養殖管理協議会認証。持続可能な養殖水産物の認証制度。※1やBAP認証※2ベスト水産養殖業務認証。安全で持続可能な水産物の認証制度。※2等の各種サステナビリティ認証を取得し、競合との差別化を図っていること、等をインタビューで確認しました。また、視察の結果、従業員はユニフォームを着用し清潔で安全な労働環境が整っていること、養殖場の排水を石灰等で浄化処理し、その排水の水質は第三者機関による検査を受けていること等、社会性面のみならず、環境面においてもサプライチェーン上重大な問題がないことを確認しました。なお、今回の訪問を契機に、現場において更に改善が可能な労働安全衛生面に係る事項が発見されましたが、視察後速やかにその改善がなされました(転倒の可能性のある箇所の改善)。
当社は、Viet Tien Garment社及びVinh Hoan社が経営戦略にサステナビリティを組み込んでいることや、それを実現する仕組み作り(組織体制の構築や研修の実施)を実践していることを、上述の速やかな改善事項の対応も含めてサステナビリティを推進する上でのBest Practiceとして、当社グループ各社と共有の上、より良い事業活動の推進に繋げたいと考えています。
当社は今後もサプライヤーの皆様とのパートナーシップのもと、サステナビリティの推進に継続的に取り組んで参ります。
2016年度は当社がコロンビアから調達するコーヒー取引に関し、当社の重要な事業パートナーであるOlam Colombia社※1Olam Colombia社はOlam International Limited (Olam社) の子会社。※1のBest Practiceの理解を深める為に、同社のコーヒー精選所、及び同社やコロンビアのコーヒー輸出業者であるFNC社の調達先であるコーヒー農園を訪問致しました。視察先はいずれも、強制労働や児童労働などサプライチェーン・マネジメント上問題がないことを確認しました。なお、今回の訪問を契機に、現場において更に改善が可能な労働安全衛生面に係る事項が発見され、速やかにその改善がなされました(安全標識の追加設置等)。三菱商事は、今後もこれらの改善を三菱商事グループ各社と連携の上、サプライヤーの皆様と共に継続的に取り組んで参ります。
2016年2月、当社のサステナビリティ推進部の担当が、当社100%子会社の㈱エム・シー・フーズの取引先であるスリランカの紅茶生産者Mabroc社における、当社「サプライチェーンにおけるCSR行動ガイドライン」遵守状況を確認すべく、サプライヤー視察を実施しました。
紅茶を含む農業の他、繊維、発電、観光、インフラ等幅広いビジネスを手掛けているスリランカ最大上場企業のHayley’s社の100%子会社であるMabroc社は、紅茶のパッキング、輸出やマーケティングを手掛けています。原料である茶葉の調達は、同じくHayley’s社の子会社であるKelani Valley社より行っており、今回の視察ではKelani Valley社の農園も訪問しました。
Mabroc社、Kelani Valley社は、Rainforest Alliance※1持続可能な農業を実践する農園や、その産品を基に作られた商品に付与される認証。※1やFSC認証※2持続可能な森林管理を行う業者より生産される紙、木材等に付与される認証。※2などの持続可能性に関する各種認証を取得しているサプライヤーであり、国連のグローバル・コンパクトにも参加、持続可能性に配慮した経営を行っている企業です。
今回の視察では、当社のガイドラインの遵守状況を確認する為、先ずはMabroc社、Kelani Valley社両社の環境面・社会性面に関する考えや理念をマネジメント・インタビューを通じてヒアリングしました。その後、これらが浸透しているか、現場で実践されているかを確認する為に農園、従業員の方たちの住居、教育施設、医療施設、製茶工場やパッキング工場を視察しました。また、実際に現場で労働に従事している方に対し、その理解度を確認する為にインタビューを実施しました。加えて地域コミュニティーとの共生状況を知る為に近隣住民へのヒアリングも実施しました。
視察の結果、Mabroc社、Kelani Valley社共に当社のガイドラインの遵守に留まらず、自主的にスリランカの森林の生態系を調査することや、従業員への住居の提供、従業員の子どもに対する教育機会の提供を行うなど、環境面・社会性面への取り組みを経営の根幹に据えている企業であることが確認されました。
当社は、今後もサプライヤー視察を通じて、自社のみならずそのサプライチェーン上で人権侵害が行われていないことを確認すると共に、Mabroc社、Kelani Valley社のような企業との取引を通じて、持続可能な調達の推進を図ってまいります。
2014年5月、ブラジル南東部サンパウロ市の北西約300km、世界最大級のコーヒー単一農園であるイパネマ農園と、コーヒー輸出業者であるMC Coffee do Brasilを訪問しました。イパネマ農園は、栽培されるコーヒーの品質の高さが世界的な評価を得ているだけでなく、Rainforest Allianceをはじめ、Fair Trade USA、UTZ Kapehなど、欧米の主要認証を取得しており、自然環境や労働環境に配慮したオペレーションを行っていることが特徴です。今回は、Rainforest Allianceと共に、コーヒー豆を栽培し収穫するまでの収穫前工程と収穫後工程の各段階を全て視察。同社経営陣との面談を通じ、日頃から、収穫期間中の期間従業員を含む従業員への安全や、衛生的かつ健康的な労働環境の提供などに努めていることが認められました。栽培、収穫、精選、輸出の全てを手掛ける中、品質に対し飽くなき追求をし、環境・社会性面への意識が非常に高いことが確認されています。
MC Coffee do Brasil の工場では、コーヒー豆の精選から出荷に至るまでの収穫後工程の各段階を視察。工場内では、省力化の方針の下、機械化が図られており、コーヒー豆は、大きさ、比重、色で厳格に選別の上、良質のものが輸出されています。イパネマ農園と同様に品質だけではなく環境にも配慮し、UTZ Kapeh、FLOCERTといった機関から主要認証の取得も受け、同社の高品質なコーヒーは世界から高い評価を得ています。
三菱商事は、イパネマ農園のみならず、他国において関係の深いコーヒー生産者に対してもRainforest Alliance 認証取得を推奨しており、ベトナム・タンロイ農園では2011年、タンザニア・エーデルワイス農園では2015年に認証取得に至りました。
さらに、MC Coffee do Brasil社では、小農家に対しFairtrade認証取得をサポート、現地生産者からの信頼は厚く、Fairtrade認証コーヒー取扱量はブラジル有数の規模となっています。
このように、当社は、高品質なコーヒー豆を供給するだけでなく、サステナブルなコーヒー事業構築を目指し、実績を積み重ねてきています。
2013年2月、タイ南部にある稚エビ生産販売事業会社およびエビ加工事業会社を訪問し、同社経営陣との面談および現場の視察を行いました。
稚エビ生産販売事業会社では、産卵からふ化後20日の稚エビを出荷するまでの、生産の各段階を視察しました。稚エビ生産事業においては、従業員の安全衛生面への配慮の観点から、特にふ化場内の気温および湿度の管理、また、消毒用の薬品を使用する際の安全確保への対応が必要となります。視察の結果、各施設には冷房が利いている休憩部屋や飲水機が設置され、さらに、薬品使用時にマスクを着用することが義務付けられていることが確認されました。また、同施設は毎年、国際的な養殖基準認証機関が発行するThe Best Aquaculture Practice(BAP)を取得しており、この点でも、環境面・社会性面への意識が非常に高いことが確認されました。
エビ加工事業会社では、経営陣および人事責任者との面談ならびに工場内の視察を行いました。同社は、タイの労働面における国家規格を取得し、また、政府から毎年詳細な監査を受けています。例えば、職場における適正な環境を保持する観点から、安全衛生やハラスメント防止への取り組みとして、マニュアルが完備され、また、定期的に従業員に対する研修が行われていることが確認できました。加えて、労働安全衛生に関する国際規格や第三者認証を取得していることも確認されました。