方針

方針

三菱商事は、環境憲章で明示している通り、汚染の防止を含む環境負荷低減や環境保全によって生じる環境価値の創出の向上に努めることが当社にとっても重要な課題であると認識しています。また、当社は環境法規制などの管理の面からも、汚染の防止、廃棄物の発生抑制・再使用・再資源化に関連する各法令の遵守を徹底するため、社内通知、関連会議などで対応に関する周知・注意喚起を行い、排出事業者としての責任を果たしていきます。なお、油濁・土壌汚染に関しては、それぞれガイドラインや対策基準を策定の上、社内への周知を徹底しています。

参照
三菱商事環境憲章
サステナビリティ部(PQ)

目標

目標

単体および事業投資先の汚染の防止、廃棄物の発生抑制・再使用・再資源化に係る取り組みを管理する目的で、全事業投資先に対し、環境パフォーマンスに係る調査を実施しています。また、単体においては、本店オフィス活動に伴う廃棄物排出量について、環境マネジメントシステムの運用の中で廃棄物の発生抑制・再使用・再資源化を目的とし、持続的かつ有効な削減目標を設定・管理しています。

項目 2022年度目標 2022年度実績 2023年度目標
汚染の防止 プロジェクトを選定し、
油濁リスク調査を隔年実施
-(油濁リスク調査は隔年実施) プロジェクトを選定し、油濁リスク調査を隔年実施
廃棄物の排出量※1廃棄物の排出量: 本店オフィス活動に伴う廃棄物排出量※1 継続的な廃棄物排出削減活動と排出量の把握※4コロナ禍のため、オフィス活動マニュアルに基づき定性目標をメインとする※4 485.4トン
(2021年度実績比+12.6%)
継続的な廃棄物排出削減活動の実施 (リサイクル率96%以上)
有害廃棄物の排出量※2有害廃棄物の排出量:廃棄物処理法上の「特別管理産業廃棄物」排出量(当社単体)※2 廃棄物処理法に定める特別管理産業廃棄物の排出量把握と適正な処理実施 159.8トン
診療所からの感染性廃棄物100%リサイクル、PCB廃棄物について法定処分期限までに順次処理実施
廃棄物処理法に定める特別管理産業廃棄物の排出量前年度比減と適正な処理実施
原材料の利用量※3原材料の利用量: 本店オフィスでのコピー用紙使用量※3 ペーパーレス化など改善活動の継続と正確な削減数値把握※4コロナ禍のため、オフィス活動マニュアルに基づき定性目標をメインとする※4 14,192千枚
(2021年度実績比+14.3%)
ペーパーレス化など改善活動の継続(前年度比3%減)
サステナビリティ部(PQ)

体制

体制

所管役員 小林 健司(執行役員、コーポレート担当役員(CSEO))
審議機関
(経営意思決定機関である社長室会の下部委員会)
サステナビリティ委員会
委員会で審議された汚染防止に関わる重要事項は、社長室会にて機関決定され、所定の基準に基づき、取締役会に付議・報告されています。
事務局 サステナビリティ部
参照
サステナビリティ推進体制図

リスク管理

当社では投融資案件の審査に際し、経済的側面だけでなく、ESG(環境、社会、ガバナンス)の観点を重要視し、汚染の防止、廃棄物の発生抑制・再使用・再資源化への対応も踏まえ、総合的に審議・検討しています。また、新規・撤退案件の審査のみならず、既存事業投資先の事業経営をモニタリングし、改善に資するように努めています。特に、油濁については、定期的に油濁リスクに係る調査を行い、油濁事故防止体制・危機管理体制が構築されていることを確認するとともに、これらが周知徹底していることを確認する研修の実施も把握しています。これらを通じ、油濁事故を未然に防止し、適切なリスク管理を徹底しています。

参照
当社における人権・環境デューデリジェンス
サステナビリティ部(PQ)

取り組み

取り組み

廃棄物削減の取り組み(単体)

〈オフィス管理〉

  • 分別の徹底によるリサイクル率の維持
  • 計画的なオフィス什器管理

〈事業活動〉

  • 各種リサイクル法(食品リサイクル法、容器包装リサイクル法、小型家電リサイクル法、建設リサイクル法)の遵守を環境マネジメントシステムの運用の中で管理することで、各法令に基づき努力義務事項へも対応を行い、事業活動から発生する廃棄物削減に取り組んでいます。

三菱商事ファッション㈱「THE ME」事業

日本国内の近年の衣料品市場規模はバブル期の約15兆円から8兆~9兆円規模に縮小していますが、一方で供給量は20億点から40億点に倍増していると言われています。また、購入単価、輸入単価は1991年を基準に6割前後の水準に下落しています経済産業省公開資料に基づく環境認識。

1990年代当時と比べ、サプライチェーンなどにおいて多くの改善が成されておりますが、生産・供給・販売・購入・使用、これら一連のバランスは変化しました。消費者が安価で商品を購入でき、選択肢が豊かになった反面、産業全体の供給量増加に伴う環境負荷や大量廃棄に対し、社会から疑問を投げかけられています。

当社子会社の三菱商事ファッション㈱は、前身を含め30年以上にわたりアパレル企業向けなどにアパレル製品を供給しています。需給のズレによって生じる過剰生産・大量廃棄を取り組むべき課題の一つとして着目し、2020年7月に自社ブランド「THE ME(ザ ミー)」を立ち上げ、東京・神宮前にショールーム型店舗をオープンしました。

「THE ME」は、「量産を前提とした作り方は、しない。一人ひとりに合わせる。」をコンセプトとして、製品在庫を持たず、消費者が購入するもののみを生産し短納期で指定地に届ける、という独自のモデルを採用しています。また利用する消費者にとっては注文後に待つ時間を要する消費スタイルとなるため、「サイズ補正」・「カスタマイズ」などの新たな消費者価値を合わせて提供しています。

これまでの業界努力により、オーダースーツを代表として「THE ME」同様の商品供給スタイルはすでに存在していますが、「THE ME」は特定アイテムではなく、全体供給量の最適化を目指すことから、Tシャツ・ワンピース・スカート・コートといった全ての商品を対象としていることや、消費者接点だけでなく供給工程にITを多く取り入れていることが特徴です。

東京・神宮前のTHE ME店舗
東京・神宮前のTHE ME店舗

同社は、「THE ME」を通じて生産・供給・販売・購入の一連のプロセスに関わることで、本質的な課題を発掘し、ビジネスモデルの変更・IT化によって打ち手を重ね、「一つのモデル」として確立することを目指しています。同モデルを多くの企業に提供し、需給バランスの最適化の一翼を担うことが、「THE ME」事業の目指す姿です。

廃棄ロス削減における㈱ローソンとの取り組み

当社は、当社子会社の㈱ローソンと共に、近年問題となっている食品の廃棄ロスの削減に向け、AIやデジタルマーケティングを活用した取り組みを実施しています。

これまでも、2015年から導入しているセミオート発注(AIを活用し店舗の販売力に応じた発注数の推奨を行うシステム)で店舗の発注精度の向上に取り組んできました。今後は最新AI技術の活用での精度向上に加え、仕入れた商品を売り切っていくことにも取り組みます。従来、販売期限が迫る商品の値引き販売は、店舗の経験値に頼る部分が大きいものでしたが、AIを活用し店舗ごとにその日の在庫の状況に応じた値引き額や値引き時間を推奨することで、より効果的に売り切る販売を行えるようにします。

三菱食品㈱における廃棄物削減の取り組み

当社子会社の三菱食品㈱では、サプライチェーン上の最適化を目指し、製・配・販連携による各種効率化活動を行っています。メーカー・小売りとの協同による配送の効率化や小売りとの連携による返品削減と在庫適正化に取り組み、配送車両や返品率を削減し、GHGの削減や廃棄物削減につなげています。

サーモン養殖事業におけるライフサイクル分析の活用

当社子会社のCermaq社は、EUが推進している環境フットプリントカテゴリー規制(Product Environmental Footprint Category Rules:製品ライフサイクルの環境負荷算定方法に関わるガイダンス。通称PEFCR)に沿って、ノルウェー産養殖サーモン製品のライフサイクル(稚魚生産~消費)分析を進めています。また、カナダでは、第三者機関による循環型経済性評価を実施し、スコア向上に向けた対応の特定を行っています。現状、使用済み資材を様々なリサイクル施設に提供することによる廃棄物削減に成功しており、今後もさらなる廃棄物削減に向けた対応を継続していきます。

サーモン養殖事業におけるライフサイクル分析の活用

油濁汚染防止の取り組み

当社では、2012年に油濁リスクに関するガイドラインを策定しました。事業投資先を含めた、当社の油濁事故がもたらす環境負荷を十分に認識の上、油濁事故の未然防止に努めています。取り扱い製品、事業立地などを踏まえ、対象となるプロジェクトを決定し、定期的に油濁リスク調査を行い、油濁事故防止体制・危機管理体制が構築されていることを確認するとともに、これらが周知徹底していることを確認する研修の実施も把握しています。これらを通じ、油濁事故を未然に防止し、適切なリスク管理を徹底しています。また、当社として把握している重大な漏出はありません。

サステナビリティ部(PQ), コンシューマー産業グループ(HI), 食品産業グループ(LI)

外部との協働

外部との協働

日本貿易会

当社は、商社の業界団体である日本貿易会の一員として日本経済団体連合会が提唱する低炭素社会実行計画の策定・実行に寄与しており、同計画も踏まえ、単体エネルギー使用量削減のための省エネ設備導入などを積極的に進めています。また、日本貿易会内に設置されている地球環境委員会のメンバーとして、低・脱炭素社会・循環型社会の構築に向け、環境関連法規制対応や環境パフォーマンス向上の推進、業界としての取り組みの外部発信の検討など、さまざまな活動に積極的に参画しています。企業にとって環境に配慮した持続可能な成長を実現することが肝要であり、当社のみならず商社業界全体として、長期的かつグローバルな視点で果たすべき役割を認識し事業活動を通じた貢献に取り組んでいます。

サステナビリティ部(PQ)