各国政府による支援制度や技術革新により、再生可能エネルギーの導入がさらに加速することが見込まれています。
三菱商事は2030年度までに再生可能エネルギー発電容量を2019年度比で倍増することを目標として設定しています。再生可能エネルギーが世界の主力電源となっていく潮流を捉え、2020年に実施した、欧州で総合エネルギー事業を展開するオランダEneco社買収に代表されるように、再生可能エネルギーを起点とした発電から小売までの取り組み・投資を拡大する方針です。再生可能エネルギーなどの環境負荷の低い電源とデジタル技術を組み合わせ、電力の安定供給に貢献するだけでなく、需給調整機能を活用し、顧客に対する新たな付加価値の提供や次世代燃料として期待されるクリーン水素事業への取り組みを通じて、持続可能な低・脱炭素社会構築への貢献と企業価値向上の実現を目指します。
オランダ総合エネルギー事業会社であるEneco社は、オランダ、ベルギー、ドイツの3ヵ国を中心に、再生可能エネルギー(以下「再エネ」)を主軸とした発電事業、電力・ガストレーディング事業、電力・ガス小売事業、地域熱供給事業を展開しており、オランダ第3位の強固な顧客基盤と共に、建設中を含め約2,240MWの再エネ資産を保有しています。2007年から他社に先駆けて再エネ開発を行い、2011年からは、消費者向けに100%グリーン電力(グリーン証書の活用含む)を供給するなど、グリーンブランドとしての地位も確立しています。また、顧客重視のサービスをいち早く会社目標として掲げてきた先進的な企業です。更には、自社活動によるCO2排出(Scope1/2)のみならず法人・一般家庭向けの電力・ガスの小売り・熱供給を含めたバリューチェーン(Scope3)を対象に2035年までのカーボンニュートラル実現を目指す「One Planet Plan」を2021年に発表しており、国内外から気候変動対策に積極的に取り組む企業として認められています。
当社はEneco社買収前にも同社と3件の欧州洋上風力発電事業および欧州での蓄電事業で協業し、欧州での再エネ導入拡大に貢献してまいりました。当社は、同社の技術力・ノウハウを活用し、欧州外でも再エネ開発をさらに加速させ、経済価値、社会価値、環境価値の三価値同時実現による持続可能な社会構築への貢献を目指します。また、同社の顧客基盤と当社の持つさまざまな商材・サービスを組み合わせることで、同社顧客向けのエネルギーマネジメント関連の新サービスを充実させ、「中期経営戦略2024」で掲げた、EX・DX戦略を推進しております。
再エネの普及に伴う小規模分散電源の増加や、蓄電池・デジタル技術の発展などにより、電力事業の在り方が転換期を迎える中、当社はパートナーである中部電力と共に、再エネ開発およびデジタル技術を活用した顧客重視のサービスを展開する先進的な総合エネルギー事業会社である同社の成長を通じ、人々の生活インフラを支えることで、低・脱炭素化社会への移行や地球環境保全といった社会課題の解決に貢献することを目指します。
現在、世界のCO2の排出量は運輸部門が2割ほどを占めるといわれており、自動車産業においてもCO2削減および脱化石燃料化は大きな課題となっています。走行中の環境負荷が少ないEVの普及が進んでいく中で、当社はEV及びバッテリーを起点とした事業を通じて低・脱炭素社会の実現に貢献しています。
脱炭素社会における電気自動車(EV)の普及拡大を見据えた新事業創出に向け、当社と本田技研工業㈱(以下、Honda)は、2024年7月に新会社「ALTNA」を設立しました。ALTNAはHondaが持つEV・バッテリーの制御技術やコネクテッド技術と、当社が持つ蓄電池運用やスマート充電などの電力ビジネスに関する知見を組み合わせることで、EVユーザーのTCO(Total Cost of Ownership:総保有コスト)を低減しつつ、EVバッテリーを長期に活用する仕組みの導入・展開を狙い、以下3事業の展開を目指しています。
リース会社等の車両オーナーと連携の上、ALTNAがEVのバッテリーの所有権を保有、車両利用期間中のバッテリーをリース提供します。保有バッテリーは使用状況を継続的にモニタリングすることで中古車リースまでの長期利用を実現します。また、車載用として利用し終えたバッテリーは蓄電事業に転用することで、長期活用を前提としたリース価格を設定し、EV利用コストを低減します。
リパーパスした車載バッテリーを系統用蓄電池として活用し電力供給を行います。再生可能エネルギー普及促進に向け、高まる蓄電池需要に対し、車載バッテリーのリパーパス活用、及び同バッテリーは交換を前提とすることによる蓄電所設備の最大活用により、資源循環型の系統用蓄電所を運用します。また、系統用蓄電池としての利用を終了したバッテリーは、循環型社会の実現に向けて適切なリサイクルを実現いたします。
先進のエネルギー制御技術を活用し、充電器を車両に接続するだけで自動的に電力網のオフピークでEV充電を行い、EVユーザーの電力コストを最適化するスマート充電サービスを提供します。電力網のオフピークは再生可能エネルギーの余剰が発生している時間帯でもあるため、本サービスにて再生可能エネルギーの活用促進にもつながります。
<千代田化工のSPERA水素Ⓡシステム>
当社は、低脱炭素を目指す為の次世代エネルギーの一つとして有力視されるクリーン水素・アンモニアのサプライチェーン構築を目指し、製造・輸送・貯蔵の各ステージにおいて、パートナーと共同で検証を進めています。
製造については、Exxon Mobil社が米国テキサス州・ベイタウンで推進するクリーン水素・アンモニア製造プロジェクトへの参画、ならびに同プロジェクトにて製造されるクリーンアンモニアの引き取りについて、同社及び出光興産株式会社と共同検討を実施しています。本プロジェクトでは年間約90万トンのクリーン水素を製造し、そのうち約100万トン/年程度のクリーンアンモニアを日本に輸入する予定です。製造時の二酸化炭素排出量の約98%を回収することで極めてカーボンフリーに近い低炭素水素及び低炭素アンモニアを製造します。
輸送・貯蔵については、当社が愛媛県に保有する波方ターミナルをクリーンアンモニアの輸入受入拠点・周辺需要家への供給拠点として活用すること、また出光興産株式会社が中心となり検討している周南ターミナルとの連携拠点化等を検討しています。
水素はエネルギー利用における新たな低炭素化の選択肢として注目されています。当社も参画した国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「有機ケミカルハイドライド法による未利用エネルギー由来水素サプライチェーン実証※本実証は、経済産業省の「水素・燃料電池戦略ロードマップ」(2014年6月公表、2016年3月改訂版公表)のフェーズ2の実現に向け2030年頃の発電事業用水素発電の本格導入の際に必要となる海外からの水素の大量輸送・供給技術の確立に取り組むもので、2020年にブルネイから本邦に水素を輸送する実証を実施しました。2015年12月にCOP21で採択されたパリ協定に基づき、今後温暖化ガスの排出削減がさらに必要となる中、燃焼時にCO2を排出しない水素の大規模発電分野での活用の実現に貢献します。※」が2020年12月に成功裏に終了し、商業案件開発フェーズに入ったことを受け、当社は現在国際間水素バリューチェーン構築に向け積極的に取り組んでいます。
2020年3月、当社はシンガポール政府関係者の同席の下、同国の民間5社(City Energy社(旧 City Gas社)、Jurong Port社、PSA Corporation Limited社、Sembcorp Industries社、Singapore LNG Corporation社)および千代田化工建設㈱(以下、「千代田化工」)と、シンガポール共和国の持続可能な水素経済の実現に向けた相互協力について覚書を締結しました。また、2021年7月にはオランダにおいて、同国のロッテルダム港湾公社、Chane社(旧 クーレターミナル社)、および千代田化工とロッテルダム港への水素輸入による国際間サプライチェーン構築に関する共同調査を実施すべく、4社間で覚書を締結いたしました。なかでも、シンガポール共和国における水素バリューチェーン事業の実現に向けては、2021年10月にSembcorp Industries社および千代田化工と戦略的提携に関する覚書を締結し、2022年10月には、水素サプライチェーン事業の技術的・商務的な更なる検討を進めることに新たに合意しております。
当社は、ENEOS㈱と日本における持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuel以下「SAF」)などの次世代燃料の事業化に向けた共同検討を行うことに合意しました。
ENEOSが有する製造技術および販売網と当社が有する国内外の原料調達およびマーケティングに関する知見を活用しながら、各種SAF製造技術の成熟度や商業化までの時間軸に応じた基本戦略を作成し、以下3項目の取り組みを推進します。
これにより、業界横断的な取り組みが必要とされるSAFの早期事業化を目指すものです。
SUICOM英語版用画像
当社は、パリ協定の目標達成に向けて、CCS(Carbon Capture and Storage)およびCCU(Carbon Capture and Utilization)(以下あわせて「CCUS」)が果たす役割が大きいと認識しています。IEAは、1.5℃目標達成のためには、2050年に約15億トンのCO2をCCUSにより削減する必要があるとしております。CCUSは、CO2の排出源となる産業から、燃料・化学素材、建築材料などの最終製品を製造する産業まで、複数の産業を跨ぐ領域であることから、あらゆる産業に面している当社の総合力を発揮できる事業機会の一つと認識しており、この事業機会を取り込むべく、当社では、CCUSの事業化を推進しています。
CCUについては、既に商業化済の技術・商品がある建築材料分野(コンクリートなど)を短期的な取り組みとし、実証に向けてさらなる研究開発が必要な燃料・化学素材分野(ジェット燃料や化学繊維など)を中長期的な取り組みとして、国内外のさまざまな企業との協業や投資を通じて新事業の開発に取り組んでいます。また、CCSにおいても海外CCSバリューチェーン構築に向けた取り組みなどを加速させています。
また、IPCC※Intergovernmental Panel on Climate Change(IPCC:気候変動に関する政府間パネル)。United Nations Environment Programme(UNEP:国連環境計画)とWorld Meteorological Organization(WMO:世界気象機関)により設立された政府間機構で、気候変動に関する科学的研究の収集・整理を行っている。※は、1.5℃目標の達成のために、排出源由来のCO2削減に加え、大気中に残存しているCO2を除去する炭素除去と呼ばれる取り組みが必要であると指摘しています。当社もこれを事業機会と捉え、炭素除去の代表的な手法とされる大気から直接CO2を回収する技術であるDAC(Direct Air Capture)をはじめ、様々な技術を駆使した取り組みを推進して参ります。
当社は、技術成熟度が高くすでに商業化されている事例もある建築材料分野に取り組んでいます。建築材料には、生コンクリート、プレキャストコンクリート(コンクリートブロック製品)、骨材(コンクリート原料)など、さまざまな商材があり、それぞれに適したCO2削減手法が必要となるため、さまざまな技術・企業との協業を組み合わせて各商材にアプローチし、CO2削減の最大化を目指しています(グリーンコンクリート構想)。
CarbonCure Technologies Inc.はコンクリート建材にCO2を固定化する技術を有するカナダ企業です。当社はCarbonCureに資本参画するとともに、同社技術の事業拡大に向けて業務提携しています。CarbonCureのカーボンリサイクル技術は、生コンクリート製造時にCO2を固定化・有効利用することでセメント使用量を削減し、CO2を削減するものです。また、強度や信頼性は従来のコンクリートと変わらず、北米を中心にすでに広く商業利用されています。
当社は、CCUSの中長期的な取り組み分野として、さらなる研究開発が必要な燃料・化学素材分野に取り組んでいます。具体的には、国立大学法人富山大学、千代田化工建設㈱、日鉄エンジニアリング㈱、日本製鉄㈱、ハイケム㈱と共に、NEDOの公募委託事業「カーボンリサイクル・次世代火力発電など技術開発/CO2 排出削減・有効利用実用化技術開発/化学品へのCO2利用技術開発」に採択され、CO2から衣類やペットボトルの原料として使用されるパラキシレンを製造する技術の研究開発に取り組んでおり、その中で当社は世界最大のパラキシレン取引数量を誇る1社としてグローバルネットワークを活用した事業性の検証および事業化を担当しています。パラキシレンは、その組成上水素原料の使用量を抑えながらCO2を固定化できる特長があり、経済面・環境面いずれの観点でもCCUパラキシレンの可能性は大きいと認識しています。世界の人口増につれ衣類の需要は増えることが予想されますが、リサイクルでは賄えきれないポリエステル需要をCO2から製造した循環型パラキシレンで石油由来の既存のパラキシレンを代替することを目指します。
当社はオペレーターであるbp社と推進するインドネシア西パプア州のタングーLNGプロジェクトにおいて、同プロジェクトに携わる企業連合の1社としてCCUS事業を含む開発計画を進めています。同開発計画は、2021年にインドネシア石油ガス上流事業監督執行機関であるSKK Migasの承認を得ており、天然ガスの生産に伴い排出されるCO2を累計で約2,500万トン回収し、生産中のヴォルワタガス田に再圧入・貯留することで、CO2の排出削減と同時に天然ガスの生産効率向上・増産を図るものです(CO2-EGR ※CO2を利用した天然ガスの増進回収(Enhanced Gas Recovery)※)。この結果、同プロジェクト全体のCO2排出量を半減させることが可能となります。2022年より基本設計(FEED)を開始しており、最終投資決定を前提として、2026年以降に天然ガスの生産及びCCUS事業を開始する予定です。
当社は、JOGMECによる2024年度先進的CCS事業支援として採択された大洋州CCS事業及びマレー半島沖北部CCS事業を通じて、海外CCSバリューチェーンの実現可能性調査を進めております。大洋州CCS事業では、日本製鉄㈱、ExxonMobil Asia Pacific Pte. Ltd.、三菱ケミカル㈱及び三菱商事クリーンエナジー㈱と共に、伊勢湾・中部地域を排出源とするCO2を豪州・マレーシア・インドネシア等のアジア大洋州の海域CCSサイトで貯留、またマレー半島沖北部CCS事業ではENEOS㈱、JX石油開発㈱、JFEスチール㈱、コスモ石油㈱、㈱日本触媒及びPETRONAS CCS Solutions Sdn Bhdと共に、東京湾域を排出源とするCO2をマレー半島沖北部のCCSサイトで貯留することを想定しております。いずれの事業においても2030年までの操業開始を目指して、CO2の分離回収・集積・液化・船舶輸送・貯留など各分野での初期的エンジニアリングスタディを実施しております。
世界最大手のカーボンクレジット開発・販売会社であるスイスの South Pole 社と共同で、CCUSなどの革新的な炭素除去技術に由来するカーボンクレジットの調達から販売までを手掛ける事業会社NextGen CDR AGを設立しました。
パリ協定で定められた目標を達成し、地球温暖化を 1.5℃以内に抑えるためには、CCUSなどの炭素除去技術の導入が重要とされています。そのため、本技術普及への期待が高まっていますが、大規模な社会実装に向けては、技術革新とコスト低減が課題となっています。本事業は、これらの課題を解決すべく、本技術を対象としたカーボンクレジットの需要家を集約し、クレジット供給者となる本技術の事業者よりクレジットを長期オフテイクすることで、事業者の経済性向上に寄与し、黎明期にある炭素除去技術の普及・拡大を目指しています。
本事業(NextGen CDR AG)の概要
当社は、豪州にて原生林再生プロジェクトを通じたCO2の吸収と獲得されたカーボンクレジットの販売を手掛ける Australian Integrated Carbon 社(以下、AIC社)の株式40%を日本郵船㈱と共同で取得いたしました。同社が手掛ける原生林再生プロジェクトは、過去の伐採や過放牧によって消失した原生林の再生を促すものであり、農家の牧畜プロセスの見直し・改善を通じて原生林を再生し大気中のCO2を吸収・固着することで、豪州政府が公式に認証するカーボンクレジットを獲得・販売する事業です。AIC社はポートフォリオの拡大を通じ、年間では最大約500万トン、2050年までに累計約1億トンのCO2吸収に貢献できる見込みです。
当社は、総合商社としての産業接地面の大きさを生かし、グリーン物流、グリーンビルディングをはじめ、さまざまな分野で事業を通じた低・脱炭素化を推進しています。
当社は、革新的な脱炭素技術の社会実装を加速させるBreakthrough Energy Catalyst(ブレイクスルーエナジーカタリスト、以下、BEC)にアジア域内の企業として初めて参画致しました。
BECは、世界的な篤志家であるビル・ゲイツ氏が2015年に設立したBreakthrough Energyが新たに開始した取り組みであり、研究開発を終えた脱炭素新技術を用いた個別プロジェクトに対して投資などの支援を行います。
当社は、再生エネルギー事業や水素・アンモニア・メタネーションなどを活用した次世代エネルギーの導入検討などに着手しておりますが、全世界的な課題であるカーボンニュートラル社会への移行・実現には、新技術の活用とイノベーションが必要不可欠と認識しております。
BECは、民間企業・慈善団体からの資金供給に加え、グリーン製品需要家による製品引取支援、さらには政府機関からの支援を有機的に結び付ける“Catalyst(触媒)”となり、カーボンニュートラル社会を実現するために必要な商業化直前の革新的な脱炭素技術を用いたスケールアップ・プロジェクトを支援する枠組みを構築しています。
注力分野は、①クリーン水素製造(及び水素関連インフラ)、②長期エネルギー貯蔵(Long Duration Energy Storage)、③持続可能航空燃料(Sustainable Aviation Fuel)、④直接空気回収(Direct Air Capture)及び⑤グリーン製造業(製鉄、セメント、プラスチックなど)の5分野であり、将来的には脱炭素化に重要なその他技術にも対象領域を拡張していく事を想定しています。これらの対象領域は、当社が進めるEX戦略、および「カーボンニュートラル社会へのロードマップ」を具体化させていく上で極めて重要な領域です。
当社は、BECへの参画を通じ、カーボンニュートラル社会への移行・実現を支える技術革新の普通を支援し、人々の暮らしへの安心を損なうことなく、環境負荷の更なる軽減を実現したいと考えております。
当社が有する日本・アジア地域での知見やネットワークを最大限活用し、鉄鋼・航空・金融など幅広い分野における他の参画企業と共に、カーボンニュートラル社会への移行・実現に貢献してまいります。
当社はエア・ウォーター㈱と共に北海道に於いてLNGを燃料とする大型トラック(以下、LNGトラック)と小型可搬式LNG充填設備(LNG充填ボックス)を用いた実証実験を実施しております。
運輸部門の中でも大型トラックは十分な航続距離や積載能力の確保、さらに燃料供給時間といった課題から電気自動車(EV)化/水素燃料車(FCV)化によるCO2排出量削減が難しいと言われています。一方、LNGトラックは1,000km以上の航続距離を備え、かつ従来のディーゼルトラック比較で10%程度以上のCO2排出削減効果が期待される次世代燃料トラックとして、将来的なカーボンニュートラル社会への移行に向けた現実解の一つであると捉えています。
2022年4月の実証開始以降の累計走行距離は200万kmを超え、2022年11月からは畜産糞尿由来バイオガスを原料とした液化バイオメタンの燃料への混合を通じて更なる低炭素化を実現しています。引き続き大型トラック物流のCO2排出削減策としてLNGトラックの社会実装を目指して実証事業を進めて参ります。少子高齢化や共働き世帯の増加、また昨今の新型コロナウイルス蔓延などの社会環境の変化によりEC市場は年々拡大を遂げており、物量が増加し続ける一方で人手不足は物流面でも深刻な問題となっています。当社は、当社子会社の㈱ローソンとの協業により、2019年から同社の既存物流網を活用し、EC市場の拡大に伴い増加する返品やレンタル品の返却の他、フリーマーケットサイトなどで販売された商品の発送を非対面で受け付ける「Smari(スマリ)」サービスを展開しています。2024年時点で、首都圏・関西・中部の都市圏のローソン約3,000店舗の他、駅などにも設置しています。
主な設置場所であるローソンは、全国に約14,500店舗あり、毎日、専用配送センターから約7~8回商品が納品されています。Smari(スマリ)は、納品を終えたドライバーがボックスから荷物を回収し、トラックの余積スペースで配送する取り組みで、既存物流網の戻り便を使用することで新たなGHGの排出を抑える環境配慮型ビジネスモデルとなっています。既存の物流網を活用するため、新たな人員の手配の必要もありません。また、非対面で発送手続きが完了する仕組みのため、店舗にとっては発送受付に伴うレジ作業時間の削減が期待できます。利用者にとっては、荷物の伝票記入や店舗でのレジ待ちの手間が省け、簡単にわずか数十秒で発送手続きを完了することができます。同時に、EC事業者など荷主にとっても、返品・発送方法の多様化により顧客満足度の向上が期待されます。
なお、2023年からは、宅配ボックスメーカーと協業し、ご自宅の宅配ボックスから荷物の発送ができるサービスも新たに展開しています。荷物を受け取ることだけではなく、 自宅から発送・返品・返却することを容易にし、宅配ボックスのさらなる普及を図ることで、物流の2024年問題をはじめとする社会課題、環境問題の解決に向けて邁進致します。
当社関連会社のOlam社では、企業活動に伴うGHGの排出量を算出・測定し、排出量削減に向けた取り組みを効果的に実行・管理するためのデジタルプラットフォーム"Terrascope”を2022年6月に正式にローンチし、グローバルな展開に加え、日本市場においても2023年6月より正式にサービス提供を開始致しました。AIを基盤としたスマートシステムを通じてScope 1/2/3のGHG排出量を迅速且つ正確に算出し、潜在的なホットスポットを特定するなど、デジタル化を通じた効率性の向上が特徴の一つとして挙げられます。将来的には同社の生業である食品原料・基礎食糧・生活必需品事業以外の業界・業種への拡大も視野に含めており、シンガポールでは最大手銀行のDBS銀行などとも提携しております。同社の取り組み詳細については、以下同社ウェブサイトをご参照ください。
国内外の投資家向けに不動産私募ファンドの組成・運用を行う当社子会社のDREAM社は、地球が最大のステークホルダーであるとの認識の下、「不動産運⽤の先駆者としてステークホルダーの一歩先のニーズに応え、経営・社会の持続的発展と地球環境の保全に貢献する企業であり続ける」とのビジョンを策定し社員一人ひとりが高い意識を持ちつつ事業活動を通じて地球環境の保全や社会の課題解決への貢献を行い、持続可能な社会の実現を目指しています。
物流施設を中心に国内トップクラスの資産規模を有するDREAMプライベートリート投資法人は、2024年GRESBリアルエステイト評価おいて、3年連続で最高位のレーティングとなる「5スター」を取得するとともに、優れた参加者であることを示す「グリーンスター」を7年連続で取得しています。更に、「統合型・アジア地域セクター」及び「統合型・アジア地域・非上場セクター」において、「セクターリーダー」に選出されました。
不動産の環境認証取得では、DREAMが資産運用を受託する私募リート・私募ファンドの保有物件において、CASBEE評価認証※1CASBEE 不動産評価認証
CASBEE(Comprehensive Assesment System for Bruilt Environment Efficiency / 建築環境総合性能評価システム)とは、建築物の環境性能を評価し格付けする手法で、省エネや省資源、リサイクル性能など環境負荷低減の側面に加え、景観への配慮なども含めた建築物の環境性能を総合的に評価するシステムです。※1、※2BELS評価
BELS評価※2BELS評価
BELS(Building-Housing Energy-efficiency Labeling System)とは、2016年4月に施行された建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)により不動産事業者などに表示するよう努めることが求められている建築物について、省エネルギー性能を評価し認証する公的制度の一つです。※2、東京都中小低炭素モデルビル※3東京都中小低炭素モデルビル
東京都中小低炭素モデルビルとは、東京都がCO2排出量の少ない低炭素ビルが評価される不動産市場の形成を目指し、2012年5月に公表した「低炭素ビルの評価指標(低炭素ビルベンチマーク)」に関して、CO2排出量の小さい低炭素ビルの目安となるA1以上に分類されたビルになります。東京都では、低炭素ビルベンチマークでA1以上であり、積極的に省エネに取り組む中小テナントビルを「中小低炭素モデルビル」として公表しています。※3、レジリエンス認証 ResReal水害版※4レジリエンス認証 ResReal 水害版
レジリエンス認証 ResReal(レジリアル)とは、一般財団法人日本不動産研究所によって認証される自然災害に対する不動産のレジリエンス(強さやしなやかさ、回復力、抵抗力)を定量化・可視化するために、物件の「頑強性(立地・建物)」「冗長性」「即応性」「代替性」を評価する国内初の認証制度です。各自然災害に対する不動産のレジリエンスについて、立地や建物の性能などのハード面だけでなく災害時用の備蓄や防災訓練などのソフト面も考慮し、総合的・定量的に評価することを目的として認証となっており、水害版や対象不動産の水害に対するレジリエンスを評価します。※4などの認証を数多く取得しております。
DREAMは今後も不動産運⽤を通じて社会のWell-beingの最⼤化に貢献して参ります。
DREAM 取得済環境認証に関するデータは、以下リンク先をご参照ください。
低・脱炭素化社会・産業ニーズの変化により、電気自動車(EV)やリチウムイオン電池などの新製品に対する要求は高度化・多様化しており、それらに使用される機能素材への期待も急速に高まってきています。当社と FEV Consulting は、持続可能な社会の実現に貢献していくという共通の価値観のもと、Beyond Materials社事業を通じ、様々な素材産業に対して、マーケティングや製品開発支援などのサービスを提供しています。自動車産業などの素材ユーザーとの架け橋となり、素材産業のグローバル市場における持続的な成長に貢献するとともに、低・脱炭素化の推進と循環型社会の実現を目指します。